XMやFX業者の評判を調べると「XMはスプレッドが大きいのが難点」「FXするならスプレッドはできるだけ小さいところがいい」などというのをよく目にします。基本的にスプレッドは小さいことに越したことはありません。ですがスプレッドが小さいのにも大きいのにもそれなりに理由があるので、理由に関してはしっかりと考慮する必要があります。ここではFX取引をはじめるときに知っておきたいスプレッドについて説明をします。
◆XMのFXで使用するスプレッドという言葉について
最初はスプレッドという言葉をみていきましょう。
・スプレッドは買値と売値の差額を表す
スプレッドは買値と売値の差額を表わす数字です。FXでは買いポジションと売りポジションの2つが存在しているため、1つの通貨ペアでも買値と売値の2種類の価格が存在しています。買値と売値はそれぞれ需要と供給によって価格が決まるときには両者が乖離してしまうことがあります。その乖離度合いを表わす数値が「スプレッド」です。
たとえば買値が125.05円で売値が124.00円としましょう。この場合は「125.05−124.00=1円5銭」がスプレッドということになります。なおスプレッドは基本的に「価格の高い方−安い方」で計算するのでマイナス値で表わすことはありません。そのためスプレッドが大きいときは買値と売値のどちらの価格が大きいのかをチェックする必要があります。
・スプレッドと銭
スプレッドを計算するときに現れることが多いのが「銭」という単位。一体どういうものなのでしょうか。銭とは日本円の単位のことであり、「100銭=1円」という単位になっています。銭という単位の硬貨はないので日常で使うことはまずありません。ですがFXの場合、取引量が多いことから1円の価格変動でも多大な利益や損失をもたらすなど取引そのものが不安定になるので、便宜上「銭」という単位が使われるようになりました。
たとえばEUR/JPYやUSD/JPYなど日本円(JPY)が用いられている通貨ペアでは、スプレッドを円単位で考えるため、スプレッドが1.55ならば「1円55銭」と表現しています。実質的にスプレッドと銭の単位は同じものといってよいでしょう。
ちなみにアメリカではドルよりも単位が小さい「セント」が用いられているため。アメリカで通貨ペアのスプレッドを表現するときは「1ドル55セント」などとよんでいます。
・スプレッドは通常の取引ではあまり関係ない指標
「儲けを出すならスプレッドはできるだけ小さいほうがいい」と言われますが、取引のやり方次第では関係ないものとなります。スプレッドが大きく関わるのはスキャルピングやデイトレードなどの短期的なトレードだけです。短時間で多くの取引をするため、買値と売値の価格差が大きく響いてきます。
逆に数週間ないし数カ月感ポジションをキープする長期運用であれば、スプレッドの違いはほとんど関係ありません。スプレッドは約定に関わる数値ですが、取引回数が少なければ影響を小さくできます。スプレッドが仮に大きかったとしても、しばらく待ってスプレッドが小さくなった瞬間を狙うといった方法も、長期運用なら可能になるという面もあります。
◆XMでスプレッドが開くときはどんなとき
スプレッドはある条件を満たすと急に大きくなるときがあります。
・取引量が少ないとき
FXでは売りポジションと買いポジションをそれぞれキープできるので、価格も売値と買値の2種類が存在しているのが特徴です。買値と売値のポジションはそれぞれの注文がどれくらい出ているのかによって決まるようになっています。基本的に注文数が多いほど、約定するには本来の買値ないし売値に近い価格にしないと約定しないので、価格が安定するのです。逆に注文数がすくないと買値ないし売値と乖離した状態でも約定できることから、スプレッドが大きくなる傾向にあります。
たとえば買値が120.00円だとします。このときに買値注文が「120.10円」「120.50円」「120.75円」が出たとしましょう。売値注文の量にもよりますが、買値と最も近い「120.10円」が約定して、買値も約定したときのものに変化します。
もしも注文数が少ないときはどうなるでしょうか。たとえば買値と売値がそれぞれ120.00円で注文が「122.05円」だけだったとします。2円以上も価格が離れているものの注文が1つしかないので、約定できれば「122.05円」が買値となります。売値は「120.00円」のままだとすると、スプレッドは0円から2円と5銭(1銭=0.01円)に変化したことになり、スプレッドが拡大したことになるのです。
・不測の事態が発生したとき
「増税ないし減税の発表」「重要な経済指標が発表された」「国家の財政を揺るがすような重大なニュースが放送された」など経済やFX市場に大きな衝撃を与える出来事が起きると、一般的にスプレッド差が大きくなります。
ニュースなどによって買いポジションと売りポジションのバランスが崩れるのは意外と多いです。買いポジションと売りポジションがそれぞれ同じペースで価格の上昇ないし下落が起きていれば、スプレッドが大きくなることはありません。ところが経済や市場に大きな衝撃を与えるニュースが流れると状況は一変。トレーダーたちは今後の展開を予測して、買い注文あるいは売り注文のどちらかをたくさん出すようになります。結果として買いと売りのどちらかの注文数が増大し、価格がどんどん釣り上がるようになっていった結果、スプレッドが大きくなっていきます。
たとえば買値と売値がそれぞれ110円で買い注文だけ大量に発生したらどうなるでしょうか。買値が111円、115円、120円とどんどん上昇していくことになるので、買値と売値の差額が大きくなりスプレッドも拡大していきます。
◆まとめ
スプレッドは買値と売値の差額であり、基本的には値が少ないほど安定して取引ができるようになります。ただしスプレッドの影響を受けるのはスキャルピングやデイトレードなどの取引であり、やり方によっては影響をほとんど受けないというもの少なくありません。スプレッドは業者の良し悪しをきめる絶対的な指標ではありませんので気をつけてください。