FX取引ではレバレッジを掛けた取引がおこなえます。自分がもつ予算よりも多く取引ができるので、一挙に利益を得られる反面、一気に損失が大きくなるリスクも潜んでいます。そうしたリスクに対してはどうすることもできないのでしょうか。そんなことはありません。損失に備えて仕組みがXMなどのFX会社で用意されています。それがロスカットです。今回はロスカットの仕組みなどについて説明してきます。
◆XMなどのFX取引で発生するロスカット
FX取引においてロスカットの存在は大切なのですが、どういったものなのでしょうか。
・損失の拡大を防ぐために発生するロスカット
ロスカットとはFX取引において損失の拡大を防ぐための仕組みです。取引中に一定以上の損失が発生したときに発動するようになっており、発動するとすべての取引が約定されます。ポジションをもっている限り損失は拡大してしまいますが、取引をすべて終わらせてしまえば、損失は一切発生しません。ロスカットでポジションをすべて切り払うのもそうした目的があるようです。
・ロスカットが起きるとき
ロスカットで発生する条件は「証拠金維持率が一定化になった」となっています。ここでいう証拠金維持率とは、口座残高に取引の評価損益を加えた金額に必要証拠金を割ったものです。たとえば口座に100万円あり、取引の証拠金が8万円だったとしましょう。証拠金維持率の計算式は「(口座残高+取引の評価損益)÷必要証拠金×100」であることから、100万円÷8万円×100=1250%となります。
もしも評価損が発生し、口座残高が90万円まで減少したらどうなるでしょうか。証拠金維持率の計算式に当てはめると「90万円÷8万円×100=1125%」となります。評価損により必要証拠金は100%以上減少したことになります。なお評価損が発生しても必要証拠金は変わることがありません。
ロスカットが発生する証拠金維持率の割合はFX会社によって異なっており、XMの場合は20%を切ったときが発動条件となっています。ほかのFX会社の場合は100%や50%となっていることもあるため、XMのロスカット発動条件は緩いといえるでしょう。
・FX会社にとってのロスカット
ロスカットはトレーダーからすれば欠かせない仕組みとなっていますが、XMなどのFX会社からすればどうなるのでしょうか。ロスカットの仕組みは海外FXにとって必要不可欠な制度です。理由はレバレッジのお金の出所にあります。
レバレッジはお金が増える仕組みとなっていますが、それはFX会社がトレーダーに貸し出たお金です。つまり取引で出る損失はFX会社にとっても損失になります。そのため一定上損失を出させないためにあるロスカットの仕組みは、トレーダーだけでなくFX会社にとっても損失を拡大させないものとなっています。
なお国内FXにとってロスカットが損失かどうかわからないとしたのは、DD方式を採用していることからトレーダーの損失がFX会社の利益となっていることと、追証という仕組みがあるためです。
◆XMのFX取引で発生するロスカットについて考える
ロスカットの仕組みが分かったところで、今度はロスカットの必要性について考えてみましょう。
・損を防ぐには役に立つ
ロスカットの仕組みから見ればわかる通り、ロスカット自体はトレーダーの損失を抑えるためにあります。そのため「普段から気を付けて取引すれば問題ないのでは」と思う人もいるでしょう。そうした慎重に取引している人であればロスカットは不要なのでしょうか。
結論からすれば慎重に取引する人であってもロスカットはあったほうがよいです。慎重にFX取引する人といえども、四六時中モニターの前にいるとは限りません。仕事をしている方であれば、出張などで数日取引ができないこともあるでしょう。そうした状況下で保有している通貨が急落したら、どうなるでしょうか。すぐに手放さなければいけないけれど、今の状況ではどうすることもできない、といった事態に陥ります。ですが取引市場ではそうした事情に配慮することはないので、価格はどんどん下がっていきます。
そうしたときにこそ、ロスカットの出番です。トレーダーの有無に関係なくロスカットは発動するので、出張などによって取引ができない状態になっても証拠金維持率の条件を満たせば自動的に発生します。
また慎重に取引している人が、いつも適切な取引ができるとは限りません。とくに連続して買っている状況の場合、過去の経験から「ここを切り抜ければ状況がよくなるのでは」と思う傾向にあり、適切な損切自体おこなえない可能性があります。ロスカットはトレーダーの心理に関係なく発生することから、心理的バイアスに関係なく発生するのもよいところといえるでしょう。
・損が出ていることは忘れずに
ロスカットは強制的発生することから、トレーダーが受けるダメージを減らせます。一見するとありがたい仕組みと思えますが、1つだけ航路してほしいところがあります。それが「損が発生している」ことです。ロスカットは「損失が出ているとき」に発生する仕組みであり、「利益が出ている段階」で発生することはありません。
言い換えれば「ロスカットが発生する場合、取引がうまくいっていない」ことを意味しているため、場合によっては取引する項目を切り替えたり、取引スタイルを変更したりする必要があります。ロスカットがもしも発生した場合は、今の状況がよくないことになりますので、今後の方針なども一緒に考えるようにしましょう。
◆まとめ
ロスカットはトレーダーの損失を抑える仕組みです。口座の残高や取引における証拠金などから証拠金維持率を計算して、ロスカットを発動するかどうかを判断しています。通常時であればロスカットは使わない仕組みとなっていますが、急激な価格の下落やトレーダー自身が身動きできないときには役立つ仕組みとなっています。損失時に出ることや万が一の時にしか発生しないため、不要に思える仕組みという人もいますが、あればありがたい仕組みであることは理解しておいてください。