XMでおこなっているFX取引は株式の取引と同じで、運用しているものの価格が上がれば利益が得られるようになります。ですがFXには買い注文のほかに売り注文というものがあり、こちらは通貨の価格が下がることで利益を得られるなど取引のセオリーに反しているようにみえる取引です。どうして通貨の価格が下がることで利益が得られるのでしょうか。今回はこの注文方法の一つである売り注文についてお話しします。
◆XMの注文方法の1つである売り注文について
何も買っていないのに売り注文ができるのですが、仕組み的にはどうなっているのでしょうか。
・売り注文とは
FXなどでおこなえる注文方法の1つである売り注文とは、簡単にいえば「通貨を空売りすることで利益を得る」という行為です。空売りとは現在所有していないにもかかわらず、対象のものをあたかも持っているようにして売却するというものです。空売り自体は株式投資で生まれた言葉ですが、似たような行為をFXでもおこなえることからFXの用語としても用いられるようになりました。
なお売り注文は別名ショートと呼ばれており、買い注文はロングと呼ばれているため両者は相反する関係にあるからといってよいでしょう。
・株式とFXにおける売り注文の違い
株式の空売りとFXの売り注文はほとんど同じですが、一部異なっていますので、どこが違うのかをみていきましょう。
株式は「現物主義」が基本です。所有していないものに対しておこなう空売りであったとしても、何かしらの方法で対象物を所有しなければいけません。そのため株式の空売りでは証券会社から株式を借りることからはじまります。借りた株式の価格が下がったのをみて、証券会社に返却することで利益を入手します。
FXは株式とは異なり「差金決済」であり、実際に通貨を所有する必要はありません。FX会社に空売りする通貨の証拠金を渡すことで、FX会社から「通貨を時価で買い戻す権利」が入手できます。入手した権利を行使すればFX会社からの買い戻しが発生するため、権利取得時よりも通貨の価値が下がっていた場合は、「権利発行時の価格ー権利行使時の価格」の差分だけ儲けられるようになります。
・実際のXMなどでおこなわれている売り注文とは
FXにおける売り注文はあとからFX会社が時価で買い取ると言いましたが、厳密にいうと少し異なります。たとえばドル/円を1ロット分だけ売り注文をしたとしましょう。売り注文の場合は「1ロット分のドルを売却して、円を購入した」ということになります。そして売り注文をしたドル/円を約定するときは「売却したドルを現在の価格で買い戻す」ことになります。
たとえばドル/円で1ドル=120円、1ロットは10万通貨としましょう。もしもこのまま売り注文をおこなうと、10万ドルを空売りすることになるので、1200万円が手元に残ることになります。その後1ドル110円のときに売り注文を成約したとすると、今度は1100万円(10万枚×110円)で空売りしたドルを回収することになります。売却時が1200万円で購入時が1100万円なので、差額の100万円分の利益を得たことになるのです。
◆XMの売り注文方法はどのタイミングでおこなうべき?
売り注文の仕組みがわかりましたので、今度はどのタイミングで売り注文をすればよいのかみていきましょう。
・価格が上昇から下降に転じたとき
FXの市場はさまざまな人々が取引をすることで価格が決まります。たとえばある通貨で価格が上昇すると、人々は「この通貨を持っていれば価格はさらに上がるから儲かる」と判断することで、需要が増してさらに価格が大きくなっていきます。ところが人々が持つ財力には限りがあるので、一定価格に到達すると「購入できないぐらいの価格になってしまった」とみなされ需要が一気に低下。価格も需要と合わせて下がるようになります。
基本的に売り注文をおこなう場合は価格のピークに達したあたりでおこなうのがオススメです。ピークに達した後は下落するだけなので、待っているだけで利益が得られるようになります。ただしピークぴったりを狙うのは難しいですので、実際にはピークに到達するちょっと前やピークを少し過ぎた後あたりを狙うほうがよいかもしれません。
・本来の価格以上に上昇したとき
著名な投資家であるジョージ・ソロスの言葉に「市場参加者の価値判断は常に偏っており、支配的なバイアスは価格に影響を与える。」というのがあります。市場とは現状の経済状況に合わせて常に動くものではなく、ときには不自然な動きをすることがあることを意味しており、FXもまた同様です。「この通貨の価格が上がってほしい」という思いによって積極的な取引がおこなわれると、需要が上がるためほんとうに価格が上昇します。ただしこうした上昇は人間の願望によってできたものであり、現実には即していません。いつかは急落するリスクが潜んでいるため普段ならば避けるべきなのですが、売り注文をしているときは、そうした状況になると得られる利益が大きくなります。
・戻し売り現象が起きたとき
トレンドが下落しているときは注文方法の1つである売り注文をする絶好の機会ですが、1つだけ注意してほしいことがあります。「戻し売り」が発生するということです。下落中にもかかわらず一時的に回復して上場することがあり、こうした現象のことを戻し売りといいます。戻し売りが発生すると相場が上がるので損をしてしまうと思われるかもしれませんが、そうではありません。あくまでも一時的な現象であり、すぐに下落に転じるからです。戻し売りが発生しているときもまた売り注文をする絶好の機会といえます。
◆まとめ
売り注文はXMなどでおこなえる注文方法の1つです。通常は通貨の価格が上がるほどに利益が出るのですが、売り注文に関しては価格が下がることによって利益が出るという違いがあります。そのため売り注文はある程度正確に相場やトレンドを読む力が求められるなど、中級者や上級者向けの注文方法です。FX経験があまり無い方にとってはリスクが大きいので取引量を少なくするなど、リスクを踏まえて売り注文をするようにしましょう。