日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、欧米などでは「夏時間」という制度により市場が開いたり閉じたりする時間が変わるようになっています。そのためXMなども夏時間という制度が組み込まれており、特定の時期になると時間がずれるのが特徴です。夏時間とはどういった制度であり、どんな国家が採用しているものなのでしょうか。海外でよく目にする夏時間についてみていきましょう。
◆XMで採用している夏時間と変化する取引時間
XMで採用している夏時間の制度とはどんなものであり、どういったところで影響受けるのでしょうか。
・XMなどでおこなっている夏時間とは?
XMなどで取り入れている夏時間とは、3月から11月あたりの日の出が早まる時期のみ時計の針を1時間ほど早めるという制度です。アメリカやイギリス、ドイツなど一部の国で採用されている仕組みとなっており、ニューヨーク市場などでは取引時間が変わることから、XMなどFX業者でも採用されている制度でもあります。
日本やヨーロッパでは夏時間あるいはサマータイムと呼ばれますが、カナダとアメリカでは夏時間よりも「デイライト・セービング・タイム(daylight savings time)」や、省略して「DST」と呼ばれることが一般的です。
・XMの取引時間は夏時間によって変化する
XMでは3月の最終日曜日の午前1時から10月の最終日曜日の午前1時までを夏時間としています。たとえば2018年ときは3月25日の午前1時から夏時間がはじまり、10月28日の午前1時で夏時間が終了しました。夏時間になると取引時間が月曜日の午前06:05から土曜日の午前05:50となります。なお冬時間の場合は月曜日の07:05から土曜日06:50となっているので、1時間早まるのが特徴です。
夏時間と冬時間の切り替えるタイミングが取引しない日曜日なのでシステム的なトラブルは発生しませんが、取引開始時間になってすぐに取引するような方でしたら戸惑うかもしれませんので、気をつけてください。
なお夏時間によって取引できる時間が変わるのは、FXだけでなくコモディティや原油などすべての取引項目が一斉に変化します。
・XMで今は夏時間かどうかを確認する方法
とはいえ夏時間の切り替えは取引しない日曜日におこなわれるので、時には実施されていたことを忘れるかもしれません。夏時間に変わったことをどうやって確認すればよいでしょうか。答えとしてはMT4などプラットフォーム内での時間を確認するという方法があります。MT4はXMが運営しているサーバーと接続して取引をするので、サーバーの時間が夏時間に変わるとMT4にもそのまま反映されるようになります。
確認したい場合はまずMT4のプラットフォームを起動してください。起動したら気配値リストにある「気配値表示」にでている時間を確認します。もしも気配値リストがでていない場合はメニューあるいは「Ctrl+M」のキーを押して表示しましょう。気配値の時間と自宅の時間を比較して時差が7時間であれば夏時間、6時間であれば冬時間であることがわかります。
◆XM以外で採用されている夏時間の様子
夏時間はアメリカやドイツといった国に採用されていますが、ほかの国ではどうなっているのでしょうか。ついで日本の事情もみてみます。
・夏時間の制度は3分の1の国家が採用している
XMなどで使われている夏時間の制度を取り入れている国家は、国連加盟国191カ国中、60カ国あり、全体の3分の1ほどが採用しているといえます。採用している国家を見るとアメリカやイギリス、オーストリアなど西欧諸国が中心であり、逆に南半球側で夏時間を採用している国家はブラジルやオーストラリアなど一部の国家にとどまっています。北半球と南半球では季節が逆なので、南半球側にとっては夏時間を導入するメリットがあまり無いのかもしれません。
なお夏時間の導入は一度導入したら終わりというわけではなく、国家によっては採用したり廃止したりを繰り返していることもあります。たとえばモンゴルは2015年に夏時間を採用したものの2017年には廃止しており、エジプトの場合は2010年以前に採用していた夏時間を2011年に廃止して2014年から再開したのに、2015年には再び廃止など採用と廃止を繰り返しています。いきなり国全体の時間を変えるのは抵抗がかなり大きいので、今後も夏時間を増やす国が増えるかどうかは、よくわかりません。
・日本にも夏時間を導入していた時期がある
XMとは異なり2019年までで日本は夏時間を採用していませんが、過去に遡ると採用していた時期があります。採用されていた1948年から1951年間の三年間で、GHQからの指示をもとに実施していました。当時は夏時間とは呼ばず「夏時刻法」とよばれ内容もアメリカでおこなわれていた夏時間の参考に作られました。
当時はGHQの占領下でしたが、1952年におこなわれたサンフランシスコ講和条約で日本の主権が回復すると、夏時間は廃止されることになります。同年に総理府国立世論調査所が夏時間について世論調査をしたところ、廃止してほしいという意見が圧倒的だったからです。
採用されていたのは3年だけでしたが検討段階であれば戦前からありました。1929年に発行された朝日新聞の記事に「時計を二時間早める サンマー・タイム / まとまれば法令発布」という記事が掲載されており、政府が意気込んで夏時間を導入しようとしていたことが伺えます。ですが労働者側の反対が激しかったので導入は断念されました。
戦争中の時期も「資源節約のために夏時間を導入したらどうでは?」という記事が読売新聞などに掲載されます。ただし当時はヨーロッパやアメリカと敵対していた時期であり「敵対している国の制度を導入するのはどうなのか」という意見が圧倒的だったので導入されることはありませんでした。
◆まとめ
夏時間の制度はヨーロッパではじまって以降、欧米を中心にさまざまな国が採用しています。ただしすんなりと浸透してきたわけではなく、国家によっては採用したり廃止したりを繰り返していることも少なくありません。XMではニューヨーク市場やロンドン市場など夏時間が当たり前の市場で活動することから、一貫して夏時間を採用しています。日中の取引だけに限定していれば夏時間や冬時間の影響はありませんが、取引開始自国や終了時刻で取引をする場合には影響を与えることもありますので、取引スタイル次第では注意すべき項目となります。